年齢を重ねるごとに体を襲う感染症のリスクは増えています。中でも細菌の一つである肺炎球菌は、日常生活でかかりやすい「市中肺炎(家庭や地域で起こる肺炎)」の原因として最も多く、しかも重症化しやすい病原体です。今回成人に特化して設計された新しいワクチン「キャップバックス」が販売されました。これまで以上に幅広い血清型に対応し、肺炎球菌感染症による入院、後遺症、死亡のリスクを軽減する新しい選択肢です。日本成人における市中肺炎の原因菌のうち、約71.9%の血清型に対応しており、侵襲性肺炎球菌感染症では約80.3%の血清型をカバーしています。従来の公費対象となっている「ニューモバックス」のカバー率は56.6%です。
接種回数は原則1回です。終生免疫が得られます。ニューモバックスは5年間有効で、その後追加接種が必要でしたが、キャップバックスは1回の接種で済みます。また以前にニューモバックス等の肺炎球菌ワクチンを接種した方でも、接種後1年以上たてば追加接種ができます。
副反応は、注射部位の痛み、腫れ、赤みが5日程度発生する場合があります。また疲労感、頭痛、筋肉痛、発熱がみられることがありますが、従来のニューモバックスより軽度とされています。ごくまれにアナフィラキシー様反応など重篤な副反応がおこる可能性があるため、接種後15分程度院内で待機して頂きます。
料金は1回15000円です。ニューモバックスの公費接種と比較すれば高値ですが、ニューモバックスが5年後から追加接種が必要なことを考慮すれば、費用的には変わりありません。(ニューモバックス公費4600円+追加接種自費8500円、さらに5年ごとに追加接種が必要)
本ワクチンは自治体での公費接種対象外ですので、自費接種(任意接種)になります。